「ズワイ」という小粋なフレーズは、口に出すだけでなんだか美味しさが滲みだして来る気さえしますが、ズワイガニのもつ芸術品のような繊細で美しい身は、実際に食べてみるとそんな想像の遥かに上を行きます。
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カニ本来の味を楽しめるズワイガニ
「カニとはこういう味です」という教科書的なカニの風味があり、あまりの美味しさに唸ることも忘れて無言で頷いてしまうほどです。ゴツゴツしているわけでもなく、トゲトゲも体毛もなく、どこかかわいらしいフォルムをしていて、見た目と美味しさを併せ持ったこの完成度の高さこそ北海道が誇るズワイガニです!
それでも、やっぱり北海道!
北海道のカニの仕入れでトップを走る4種類のカニの中で唯一、ズワイガニの仕入れだけは本州でも広い範囲で行われており、実は北の海特有のカニではないのです
しかし、それでもやっぱりズワイガニの仕入れは北海道に頼みたいというありがたいお声によって、北海道のズワイガニも毛ガニやタラバガニに並ぶ人気を得るまでに至りました。そんなズワイガニについて、詳しくご紹介していきます
本ズワイガニと紅ズワイガニ
先に紹介した通り、ズワイガニは日本海や茨木県以北の太平洋などで広く漁獲されています。多くの海産物の水揚量で全国トップを獲得している北海道でも、本ズワイガニ漁獲量は全国順位でみると3番手です
それでも北海道まで本ズワイガニの仕入れの声がかかるのは、本州で一般的に仕入れがされている紅ズワイガニに対し、北海道では本ズワイガニという種類が獲れているからです
本ズワイガニと紅ズワイガニの違い
味
紅ズワイガニの身は、インナーマッスルな本ズワイガニのそれと比べて量と味で若干劣り、どこか水っぽさもあります
対して本ズワイガニはと言うと、独特の甘みと食感があり、食べるほどクセになってしまいます。やめられない、とまらない
旬
紅ズワイガニの漁期は、秋口の9月頃から夏前の6月末頃までとかなり長く、年末仕入れ戦線がずれることや、上で紹介したとおり味わいが少々劣ることから比較的安価で仕入れることができます
対して本ズワイガニの漁期は、主に11月から3月頃までとカニの仕入れが全盛を迎える冬です。しっかり栄養を蓄え寒さ厳しい中でギュッと身を引き締めた状態で水揚げされるためその味わいはまさに極上です
どちらが上等かという話ではなく、それぞれに長所があるのがズワイガニの仕入れなのです
ブランド化と地域発展
北海道では紅ズワイガニの他、ロシア産のズワイガニや大ズワイガニと呼ばれるカニを総じて『北海松葉ガニ』としてブランド化し、長らく地域発展に活かしてきました。もちろん広く仕入れがされているカニとあって、北海道以外にもズワイガニをブランド化している土地はいくつかあります
幸せの循環=仕入れ
鳥取や兵庫などで水揚される松葉ガニ、石川県の加納ガニ、福井県の越前ガニなど、いずれも名の知れた美食の土地でブランド化され、地域活性化に
本当に美味しい食材というものは、口に入れた1人を満足させるだけに留まらず、他の人にも食べてほしいという幸せの循環=仕入れという仕組みを生み出す原動力にもなるということなのでしょう。
ただ、あれこれブランドがあるとよく分からなくなってしまうというのも仕入れの難しいところかと思います。納得のいくズワイガニを仕入れるためにも、カニのプロへの仕入れの注文は必須です
カニミソも上品
ズワイガニの身はもちろん美味しいのですが、外してはいけないのがカニミソです。 仕入れで圧倒的な人気を誇っているカニの王様タラバガニよりもズワイガニの方が総合力的に上だという声もありますが、その理由に挙げられるのがズワイガニの持つ上品かつ濃厚な味わいのカニミソなのです
最後のシメでクリーミーなカニミソが待っている幸せは、身を頬張る幸せを数段増加してくれます
”カニミソ”のみ、仕入れることも可能です
新鮮なズワイガニを仕入れてカニミソを手に入れるのも良いですが、紅ズワイガニのカニミソだけという水産加工品も多数あり、身ほどではないですが高い仕入れ人気があります
カニミソ甲羅焼きやカニミソグラタン、カニミソをソースに使ったパスタなど、カニミソを使った絶品料理も多数。カニミソを蓄えたズワイガニ丸ごとを仕入れるか、カニミソだけの商品を仕入れるか、皆様はどちらでしょうか
プロの手による加工は必須!
種類も食べ方も豊富なズワイガニですが、仕入れで最も注意したい点は旬や値段ではなく、質や種類でもなく、なによりもまず、しっかりと下処理がされているかどうか、です。ズワイガニはとてつもない美味しさを秘めていますが、それが発揮されるのはプロの腕による絶妙な茹で加減があってこそです。カニの調理・下処理に慣れている方であれば生の新鮮なカニを仕入れて問題はありませんが、信頼できるプロの腕で加工されていると確信できないならば、思い止まった方がいいです。
脚だけならそんなに他と大差ないだろうと激安業者から仕入れて失敗したという話は後を絶ちません。ズワイガニはそれこそダイヤル金庫のようにピンポイントで茹で上げなければいけません。「紅」の名称がついた元になったと言われている加熱すると真っ赤になる特性も、職人が織った絹のような身や、ふわふわの食感も、全てプロの腕があればこそ実現するものです。ズワイガニに精通しているプロが仕入れと処理をしているものでなければ、真の意味で「ズワイガニを仕入れる」ことにはなりません