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きんきの旬は、秋から春先! 北国を代表する冬の味覚
日本でのきんきの生息域は、北海道南東部から房総辺りまでの太平洋側です。日本海側には、ほとんど生息していません。主な産地は、北海道・青森県・岩手県・宮城県・福島県で、春の産卵期に向けて栄養を蓄えます。11月から5月にかけて収穫されますが、脂がたっぷり乗った冬が、最もおいしい“きんきの旬”です。
1970年代はトロール網などで大量に収穫され、約4,000トンありました。収穫量の多かった当時は、かまぼこの材料や肥料にするなど価格の安い魚でした。現在では漁獲量は年々減り続けて、2015年の全国の総漁獲量は約1,000トンです。
きんきの水揚げランキングは、以下のとおり
2位:岩手県(約200トン)
3位:青森県(約100トン)
北海道網走市では、はえなわ漁(針のついたロープで釣り上げることで、魚に傷がつきにくい方法)で獲った“釣きんき”がブランド化されていて、市場でも高い値段で取引され高級料亭などが仕入れています。北国を代表する希少価値の高い旬のきんきは、最高級魚として根強い人気があります
旬のきんきで、お祝いをしませんか?
関東や関西ではお祝いの魚として真鯛をいただくことがポピュラーですが、北海道や東北地方では、結婚式や入学式などのお祝いの席に旬のきんきをいただく習慣があります。
きんきの呼名で一般的には親しまれていますが、正式名称は喜知次(きちじ)または吉次と呼ばれ、たいへん縁起のいい漢字があてられています。“きちじ”はもともと宮城県での呼名で、黄色がかった赤い血の色だった姿より“黄血(きち)”に魚名語尾の“魚(じ)”がプラスされ“黄血魚(きちじ)”と呼ばれ、姿が赤く輝いておめでたいことから“喜知次(きちじ)”や“吉次”に変化したとも言われています。また、地方によって、色々な呼名があります。
・めんめ(北海道東部)
・めいめいせん(釧路)
・めいせん(岩手県)
・あかじ(東北・茨城県)
・あすなろ(三浦)
旬のきんきのおいしい食べ方
きんきならではのおいしさの魅力は、脂のノリの良さにあります。一般的な白身魚の脂肪分は約6%です。きんきの脂肪分は、たんぱく質より多く約20%あると言われています。きんきの脂は、体内の悪玉コレステロールを減らす働きのある不飽和脂肪酸のDHAやEPAが、他の魚と比べて多く含まれています。きんきの旬の時期はさらに脂がのっているため、生活習慣病が気になる方におすすめの食材です。
きんきは海老や蟹を食べて育つため、魚体が赤くなります。この赤い皮の色素にはアスタキサンチンが含まれるため、ガン予防に効果があると言われています。皮も一緒に召し上がってください。
きんきが持つ素材の旨味を活かした調理法をご紹介いたします。きんきの見事な姿を愛でる塩焼きや一本蒸し、きんきの旬を存分に味わう鍋など、さまざまな料理できんきの旬をご堪能ください。
旬のきんきを美味しく食べる調理方法
〈生もの〉
・刺身
冬に獲れた新鮮な旬のきんきが手にはいったら、刺身にして最高においしくいただきましょう
・カルパッチョ
赤くキレイな皮を引かずに薄くスライスしたきんきを、塩・オリーブオイル・柚子の果汁などで仕上げる、シンプルなカルパッチョが向いています
〈煮もの〉
・煮つけ
旬のきんきは脂を多く含むため、通常の煮つけよりも甘辛い味つけにするとおいしさがUP!します。旨味たっぷりの出汁がでるため、野菜・きのこ・豆腐などを加えて煮てください。また、きんきの煮つけは、和食の世界では超高級料理とされています
・ブイヤベース
きんきはコクのある出汁がでるため、洋食の煮つけにも向いています。身がとてもやわらかいので、煮くずれないように注意しましょう
〈鍋もの〉
・キンキ鍋
北海道では、キンキ鍋は冬の定番料理です。昆布出汁に丸ごと一匹のきんきを加えて、旬の野菜・豆腐などと一緒に煮込みます
・しゃぶしゃぶ
脂の乗っている旬のきんきは、素材の風味を味わうしゃぶしゃぶに向いています
〈蒸しもの〉
・一本蒸し
昆布の上に丸ごと一匹のキンキをのせて蒸し上げます。ポン酢をつけていただきます。
また、北海道ではポピュラーな調理法、湯煮(お湯だけで煮る)も、一本蒸しと同じような味わいが楽しめます。湯でた煮汁は、とってもいい出汁がでているので吸いものや味噌汁に使ってください
〈焼もの〉
・塩焼き
シンプルに塩焼きが向く魚ですが、水分が多く身かやわらかいため、粕漬け焼きにすると身がしまります
〈揚げもの〉
・唐揚げ
かわいいサイズのきんきはお手頃価格で、唐揚げに向きます。160℃くらいの温度で揚げてから一度取りだし油を切って、再び180℃くらいの高温で二度揚げすると、丸ごと食べられます