「きんき」というお魚をご存知でしょうか?キチジとも呼ばれている赤い色をしたカサゴに似たお魚です。
名前は聞いたことがある気がするけど、スーパーでは見たことが無い。という方もいらっしゃるかと思います。それもそのはず、きんきは高級魚のうちの1つ。スーパーには並ぶことは珍しく、デパートや高級料亭などではお目にかかる機会はあるかもしれません。
今回は、そんな高級魚きんきの生態から調理法までをご紹介します。調理法はいたって簡単なものばかりなので、きんきを手に入れた際はぜひお試しください
目次
きんきはどんなお魚?
正式な名称は「キチジ」というのですが「きんき」という名前のほうが有名になっています。北海道内では、きんきの他に「メンメ」と呼ぶ地域もあり、主にオホーツク海側と太平洋側で漁獲されています。日本海側では見かけない寒い海域の魚です。赤い体とイカツイ顔に似合わず、さばいてみるとプリッとした肉厚のきれいな白身魚。白身魚でありながら、旬の時期にはたーっぷり脂が乗ってホロホロとろけるような口当たりが特徴です
きんきの栄養
きんきには、魚特有の脂肪酸であるDHA・EPAが豊富です。DHA・EPAは悪玉コレステロールや中性脂肪の割合を減らし、血液の流れを改善してくれる栄養素です。ビタミンEも多く、ビタミンEには油脂を酸化させにくくする作用があります。つまり、良質な魚の脂を効率よく摂取することができる魚だと言えます。
ただ、きんきの脂は良質な脂ではあるのですが、脂である分カロリーも高いので食べすぎには注意が必要です
キンメダイときんきは一緒の種類?
「キンメダイ」という魚の方が「きんき」よりもよく耳にするという方も多いのではないでしょうか。キンメダイもきんきも魚体の色が赤いこと、形状も似ていることなどから混同されることもありますが、全く別の種類の白身魚です。キンメダイはキンメダイ科なのに対し、きんきはカサゴ科のお魚。獲れる漁場も違っており、北の海で獲れるきんきに対してキンメダイは関東付近の海で漁獲されます。
気になるのはお味とお値段ですよね。まずは味で言うと、脂はきんきの方が多く、キンメダイは「タイ」という名前の通りさっぱりとした白身が特徴です。お値段はと言うと、「タイ」と名前が付くキンメダイの方がお値段が高いと思いきやきんきの方が倍以上の価値があります。高価で手を出しにくいかもしれませんが食べてみると値段に納得のお味です
きんきの旬
通年漁獲されているきんきですが旬は秋から冬です。秋から冬にかけての季節が脂が乗って美味しいと言われています。ただ、普段から脂が多めの魚なのでシーズン外でも適度な脂を楽しむことができます
きんきの調理法
脂に甘みがあり、生の時の皮の赤さが美しいのでお刺身で食べるのも絶品です。今回は「調理法」ということできんきを使ったお料理を紹介します。
どのお料理にする場合も、まずはうろこをとることを忘れずに。また、大きめのお魚なので内臓もきれいに処理してしまいましょう
きんきの調理法1.煮つけ
一番おすすめの調理法はきんきの煮つけ。甘塩っぱい醤油味のだし汁で、ショウガやネギなどの香味野菜と一緒に煮ていきます。きんきを煮つけるときの注意点は、あまり触らないことです。身が柔らかいので、箸やフライ返しなどでひっくり返そうとすると身がボロボロになってしまいます。弱火で落し蓋をしながらゆっくりコトコト煮つけることが上手にきんきの煮つけを作るポイントです。
きんきの赤い皮にはゼラチン質が豊富なので、煮つけにしたきんきを冷やしておくと煮凝りも楽しめます。煮凝りが好きな方は、骨を取り除きタッパーなどで冷やし固めてから召し上がるのも良いですね。きんきは小骨が少ない魚なので骨が取りやすいのもうれしい点です
きんきの調理法2.干物
きんきは干物も絶品です。ご家庭で干物を作る機会は少ないかと思いますが、他の魚と同じように背開きしたきんきを涼しい風通しの良いところで干すだけ。1日~2日で食べることができます。なお、干物の専門店やネットショップでは簡単に購入することができます。
どんな魚も干物にすると、程よく水分が抜けて熟成されていくので旨味が凝縮されます。見た目は乾燥して少し硬くなったように見えますが、脂が多いお魚なので焼き上げるとホロホロ・プリプリとした身がたまりません。醤油をはじくほどの脂は、甘みがあり一度食べると忘れられない味です
きんきの調理法3.湯煮
きんきが多く獲れる網走では、湯煮をする家庭も多いです。なかなか聞き慣れない料理名だと思いますが「湯煮」とは、字の通りお湯で煮るだけのシンプルな調理法です。鍋に1リットルの水と小さじ1の塩を入れて火にかけ、沸騰したらきんきを入れます。その後、煮崩れないように中火~弱火で5分~10分茹でるだけ。
熱いうちにお皿に盛り、お好みで醤油かウスターソースをかけるのが網走流です。
「高級魚にソースをかけちゃうの?」
とお思いのあなた、安心してください。ソースは野菜の旨味とスパイスが入った調味料。高級魚にもピッタリ合います。地元で食べられている調理法なので間違いありませんよ。
湯煮をした後の茹で汁には美味しいだしが出ているので、汁物や煮物・鍋などに使ってしまいましょう